若様組とめぐる、明治東京さんぽ(1)ー History is hidden in plain sight

散歩・街歩き

新橋から、明治へタイムスリップ

先日読んだ 『若様組シリーズ』(畠中恵)に登場した、明治の東京のおもかげをたどる散歩に出かけてきました。

まずは 新橋駅 から出発。
ガラス張りの高層ビルが立ち並ぶ汐留エリアに、凛とした佇まいで立っているレトロな建物――

それが 旧新橋停車場 です。

小説の中で「新橋のステイション」は、英吉利(イギリス)へ向かう女学生が、港のある横浜まで行く鉄道に乗る場面に登場します。
まだ海外留学が特別だった時代、胸を高鳴らせながら列車に乗り込む姿を思い浮かべると、目の前の建物が急に物語の舞台装置のように見えてきます。

オリジナルの駅舎は 関東大震災 で消失してしまったそうですが、復元された現在の建物は、現代にも十分通用する洗練されたデザイン。明治の建築の粋を感じさせます。

当時の線路の様子も敷地内に再現されていて、ここから日本の近代化が本格的に走り出したのだと思うと、なかなか感慨深いものがあります。

駅舎の中には鉄道歴史展示室(入場無料)と、なぜか 伊藤園 による「お〜いお茶ミュージアム・お茶の文化創造博物館」も併設。


カフェもありましたが、今日は鉄道展示室だけをのぞいてみました。

小さな博物館、でも大きな歴史

こぢんまりとした展示室なので、あっという間に一巡できます。
正直なところ、鉄道オタクというわけでもない私は、専門的な車両の知識よりも、「ここから物語が始まったのだ」という空気のほうに心を奪われました。

博物館では展示ケースの中の舶来品――ラムネの瓶や、当時列車の中でお弁当と一緒に売られていたお茶の容器などに目がいきました。
ガラス瓶の形やラベルの意匠がどこか愛らしくて、
明治の人々の「新しいもの」への憧れが伝わってくるようです。

明治5年、日本で最初の鉄道が新橋―横浜間に開通。
それまで徒歩や駕籠、船に頼っていた移動が、蒸気機関車によって一気に変わる。
文明開化の象徴だった鉄道は、若様組の若者たちにとっても、きっと未来への希望そのものだったのでしょう。

近代的なビル群に囲まれながら、佇む石造りの駅舎。
その対比もまた、東京という街の面白さです。

本を読んでから歩く街は、少し違って見える。
ただの観光ではなく、「物語の続き」を探す散歩になるからです。


銀座へ、そして煉瓦の記憶

そのあと銀座方面へ歩きます。

途中で「煉瓦遺構の碑」を確認。
あまりにさりげなくて、一度は通り過ぎてしまいました。

ほんの一部だけ残された当時の煉瓦壁。
想像していたよりも明るい色合いで、やわらかな赤みを帯びています。

足元に埋め込まれた銅板には、当時の金春通りの様子が描かれていました。
ガス燈や提灯など、小さなレリーフの中に、時代の空気がぎゅっと詰まっています。

しかも、すぐ後ろにはバーらしきお店の煉瓦壁。
偶然なのか演出なのか、その一角だけがふっと明治の空気に包まれているようでした。

近代的な銀座の街並みの中に、そっと残る煉瓦。
本を読んでいなければ、きっと気づかずに通り過ぎていたと思います。

物語を手に歩くと、街はレイヤーを持ち始める。
今の東京の下に、もう一つの東京が重なって見えてくるのです。


今日のひとこと英会話

History is hidden in plain sight.
(歴史は、何気ない場所にひっそりと隠れている。)

見落としてしまいそうな煉瓦の壁に、まさにぴったりの一言でした。

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