『風のマジム』を読んで
原田マハさんの『風のマジム』を読みました。
物語の主人公は、沖縄の小さな会社で働く女性・伊波まじむ。
彼女が、沖縄のさとうきびから本格的なラム酒を作るという夢に情熱を注ぎ、周囲を巻き込みながら少しずつ形にしていく物語です。
驚いたのは、これが 実話に基づいた小説 だということ。
フィクションのように夢がありながら、どこか現実の重みも感じられるのは、そのためかもしれません。
物語の舞台には、沖縄の風がいつも吹いています。
波照間島の泡盛「波陽(はよう)」、沖縄産アセロラワイン「太陽(てぃーだ)」、そして主人公が心血を注ぐラム酒「風のマジム」。
どのお酒にも、土地の風景と作り手の思いが込められていて、名前を読むだけでも物語の香りが立ちのぼってくるようでした。
そして何より、主人公の名前 まじむ。
沖縄の言葉で「真心(まごころ)」を意味するそうです。
なんて美しい名前でしょう。
人の思いを受け止め、まっすぐに夢へ向かう彼女に、これ以上ない名前だと感じました。
物語の流れを支えているのは、おばあの存在です。
時に厳しく、時に突き放すように見えながら、実は誰よりも深く主人公を信じている。
その言葉のひとつひとつが胸に残ります。
特に心に残ったのは、この言葉でした。
「まじむ。お前も、育っていけ。いいことも悪いことも、全部(むる)、風に吹かれれば、なんくるないさ」
「なんくるないさ」は、よく知られた沖縄のことばですが、単に “なんとかなる” という軽い意味ではありません。
もともとは、
まくとぅそーけー なんくるないさ
(正しいことをして、誠実に努力していれば、きっと道は開ける)
という意味合いを持つ言葉だそうです。
ただ楽観するのではなく、
真心をもって歩いていれば大丈夫
という、あたたかな励ましが込められています。
誰かが落ち込んでいるとき。
一生懸命にもがいていても、先が見えないとき。
「頑張っていれば、きっと道が開けるよ」
そんな思いを込めて、そっと声をかけられる人でありたいと思いました。
私自身にも、そう言い聞かせたくなる日があります。
風に吹かれながら、少しずつ育っていけばいい。
夢も、人も、ことばも。
今日のフレーズ
なんくるないさ
It will work out in the end.
ただの「大丈夫」ではなく、
誠実に歩いていれば、道はひらける
という、深い励ましの言葉。
誰かに、そして自分自身にも、そっと届けたいフレーズです。
For Japanese Learners
Today’s phrase:
なんくるないさ
A gentle Okinawan phrase that means:
Things will work out if you keep going sincerely.
Learn more in Story Word Café.
ことばには、意味だけでなく、支える力があります。
オリジナルのショートストーリーを通してレッスンでもこの余韻を味わえたらうれしいです。
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