今年は早く咲くと言われていた桜が、
思いのほかゆっくりと開いている。
そのおかげで、春の景色を長く楽しめそうだ。
桜が満開になる前、
いつもの土手には、すでに色とりどりの花が
ぽつぽつと咲き始めていた。
その中でも、ひときわ目を引くのが、
明るい黄色のたんぽぽ。
春の日差しをそのまま集めたような色で、
見ているだけで、少し気持ちが明るくなる。
ところで、この「たんぽぽ」という名前。
音の響きもどこかやわらかくて、かわいらしい。
その由来にはいくつか説があるけれど、
有名なのは、綿毛の形が太鼓に似ていることから、
「たんぽ(鼓)」と呼ばれ、それが「たんぽぽ」になったというもの。
丸くふくらんだ綿毛が、
ぽん、と軽く弾むようなイメージと重なって、
なんとも楽しい名前だ。
漢字では「蒲公英」と書く。
少し難しいけれど、中国から伝わった表記で、
もともとは薬草として知られていたこととも関係があるらしい。
普段はひらがなで目にすることが多いけれど、
こうして漢字を知ると、また少し違った印象になる。
英語では、たんぽぽは dandelion と呼ばれる。
この言葉はフランス語の dent de lion(ライオンの歯)に由来していて、
葉っぱのギザギザした形が、ライオンの歯のように見えることから名づけられたそうだ。
私はずっと、花の形がライオンのタテガミに似ていることが
由来だと思っていた。
日本語が綿毛のやわらかさに注目しているのに対して、
英語は葉の形に目を向けている。
同じ花でも、見ているところが違うのがおもしろい。
オオイヌノフグリや、たんぽぽ。
どちらも野に咲く、ささやかな花たち。
けれど、名前を知っていると、
ただの「花」だったものが、少し特別な存在に変わる。
私はまだ、メジャーな花の名前くらいしかわからないけれど、
散歩の途中でふと目にとまった花の名前を、
少しずつ覚えていけたらいいなと思う。
名前を知るというのは、
そのものと、ほんの少し近づくことなのかもしれない。
今日のWord Note
dandelion
意味:たんぽぽ
同じ花でも、
ことばが変わると、見え方も少し変わる。
そんな違いに気づくのも、
またひとつの楽しみかもしれません。
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