誰も寂しくならない場所

読書

『丘の上の洋食屋オリオン』を読んで

『丘の上の洋食屋オリオン』(沖田円)を読み終えた。

このところ、不思議と心を癒してくれる“食堂もの”が続いている。

『風のベーコンサンド』(柴田よしき)、
『陽だまりランチボックス』(高森美由紀)、
そして 『スイート・ホーム』(原田マハ)。

どれも、料理のぬくもりと、人の心の機微がやさしく描かれていて、
読み終えるころには、少し気持ちがほぐれている。


今回の 丘の上の洋食屋オリオン も、まさにそんな一冊だった。

丘の上にたたずむ小さな洋食屋を舞台に、
そこを訪れるお客様たちの悩みや葛藤が描かれている。

仕事のこと、家族のこと、自分の気持ちの整理がつかないこと。

誰もが、外からは見えない何かを抱えて生きている。


でも、この物語の中には、
その心をそっと受け止めてくれる料理がある。

あたたかいスープの湯気、
やわらかなハンバーグの香り、
ほっとするような洋食のぬくもり。

そして、それを作る人のやさしさと、
お店の看板猫の静かな存在。

言葉にならない気持ちまで、
そっと包み込んでくれるようだった。


完璧な人間など、きっといない。

幸せの形も、人それぞれだ。

だからこそ、
いいところも、弱さも、少し情けない部分も、
ひっくるめて受け止めてもらえる場所があることは、
とても大きな救いなのだと思う。


物語に出てくる人々は、
そんな場所に支えられながら、少しずつ前を向いていく。

ちょっぴり切なくて、でもあたたかい。

読みながら、胸の奥にやさしい余韻が残った。


こんな「誰も寂しくならないお店」が
本当にあったら素敵だと思う。

でも、たとえお店でなくても、
身近な誰かにとって安心できる居場所をつくれる人でありたい。

そんなことを、ふと考えた。


今日のWord Note

居場所(いばしょ)

意味:安心していられる場所、自分がいてよいと思える場所

単に物理的な場所だけでなく、
人との関係の中にも「居場所」はあります。

英語では
a place where you feel you truly belong
というニュアンスが近いかもしれません。


誰かにとって、
ほっとできる小さな居場所になれたら。

そんな春の日の読書時間でした。


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