理想は、少しやさしい形で

日々の小さな発見

教室で感じたこと

日本語学習も中上級になると、
経済や社会の問題について話し合う機会が増えてくる。

先日、企業理念をテーマにした授業で、
サイゼリヤの元社長のインタビューを取り上げてみた。

すると、これが思いのほか反応がよかった。


難しそうなビジネスの話でも、
「知っているもの」が入り口になると、ぐっと身近になるらしい。

サイゼリヤに行ったことのない学生は一人もいなくて、
どのメニューがおいしいかで、ひとしきり盛り上がった。

そこからインタビューに入ると、
内容は決してやさしいとは言えないのに、
学生たちは引き込まれるように見ていた。

全部は理解できていなくても、
「何を言おうとしているのか」は、しっかり伝わっている様子だった。


改めて感じたのは、
伝え方の力だ。

ポイントが整理されていて、説明が明快。
長年トップを務めてきた人の、洞察力とプレゼン力なのだろう。

よく「プレゼンは三つにまとめるといい」と言われるが、
今回のインタビューでも「サイゼリヤの3つのない」という話が出てきて、
なるほど、と素直に納得した。

多すぎても覚えられないし、
少なすぎても説得力がない。
三つ、という数はちょうどいいのかもしれない。


成功している企業の話を聞いていると、
よく出てくる言葉がある。

「お客様ファースト」
「従業員ファースト」

多くの会社が掲げている理念だろう。

けれど実際の現場では、
忙しさや利益の中で、つい後回しになってしまうこともあるのかもしれない。

だからこそ、あえて「理念」として言葉にしているのだろう。


私自身はビジネスの世界にはあまり詳しくないけれど、
こうした考え方を、ぶれずに持ち続けられる会社が、
長く続いていくのかもしれない、と感じた。


そういえば、先日読んだ
隠居すごろくの中にも、
印象的な言葉が出てきた。

「経世済民(けいせいさいみん)」。
経済の元になっている言葉だ。

世の中をよく治め、人々の暮らしを助ける、という意味の言葉だ。

もともとは政治の理想を表す言葉だが、
どこか現代の企業理念にも通じるものがあるように思う。


昔も今も、
社会の本質はそれほど変わっていないのかもしれない。

授業の中で、ある学生が言った。

「それは理想主義ですね」

たしかに、そうかもしれない。

でも、理想があるからこそ、
人は少し先を目指して進んでいけるのではないだろうか。


今日のWord Note

理念(りねん/ri-nen)

意味:大切にしている考え方や方針

英語では philosophy / principle


「理念」という言葉は、少しかたいけれど、
実はとても身近なものかもしれない。

自分は何を大切にしたいのか。
その小さな答えが、日々の選択を少しだけやさしくしてくれる気がする。


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