こんにちは。
『komorebi日和』へようこそ。店主のkomorebiです。
「いつか洋書を読めるようになりたい」
そう思って、おしゃれな表紙のペーパーバックを買ったことがある人、きっと少なくないと思います。
お気に入りの本を原著で味わう自分。
ちょっと憧れますよね。
……でも現実は、だいたい1章目で止まる。
知らない単語。辞書を引く。
また知らない単語。辞書。
あれ、さっきも出てきた言葉だけど、なんだっけ?
気づけば、「読書」じゃなくて「苦行」になってしまう。
そして本を閉じる。
「やっぱり英語は無理」ってなるその気持ち、よくわかります。
でも、これまでいろいろな学習者を見てきて、思うんです。
洋書で挫折する人って、能力が足りないんじゃない。
むしろ、真面目すぎるんじゃないかって。
そんな“真面目さ”を少しだけ緩めるために、私が好きな「洋書との付き合い方」をお話しさせてください☕️
名詞より、「動詞の顔」を見る
洋書を読んでいると、私たちはつい「知らない単語」に反応します。
家具の名前とか、服の種類とか、料理名とか…。
もちろん大事な要素なのですが、実は物語を動かしている主役って、そこじゃないんですよね。
物語を前へ進めているのは、だいたい「動詞」です。
つまり、「どう動いているか」。
ここを掴めると、意外なくらい内容が理解できたりする。
たとえば食事のシーン。
ただ eat と書かれているなら、「食べる」にしかなりません。
でも、洋書では作者がわざわざ別の動詞を選ぶことがあります。
たとえば、
grab a bite
これ、直訳すると「ひと噛みをひったくる」。
でも実際には、
「時間がなくて、駅前で急いで何かを胃に流し込む」みたいな空気があります。
こんな情景が見えませんか。
昼休みの慌ただしいひと時に、急ぎ足でホットドッグとコーヒーをテイクアウトするニューヨークのビジネスマン、みたいな。
わからない名詞があっても、
「この人いま、どんなふうに動いてるんだろう?」を追うだけで、物語が急に立体的になります。
日本語だって、いつも100%きっちり意味がわかっているわけじゃない。
ドラマを見ていても「今なんて言った?」なんてこと、ありませんか?
それでも聞き返したりしないで「なんとなく」で話が通じてしまう。
英語も同じ。
もっと肩の力を抜いて「なんとなく」わかる感覚に頼ると、読書はもっと楽しくなると思うのです。
英語は「動き」を描いて、日本語は「空気」を描く
英語を読んでいて私が面白いなぁと思うところの一つがこれ。
英語と日本語って、世界の切り取り方そのものが違うんです。
日本語は、空気や気配を描くのがとても得意。
「むしゃむしゃ」
「ガツガツ」
「ちびちび」
後ろの「食べる」は変わらないまま、手前の音で感情を乗せる。
なんだか、柔らかいですよね。
一方、英語はもっと具体的で。
「どんな生き物みたいに動いているか」を、そのまま言葉にしてしまう。
wolf down
→ オオカミみたいにガツガツ食べる
nibble
→ ネズミみたいに端っこを少しかじる
つまり英語の動詞って、ただの意味じゃなくて、小さな映像なんです。
ネイティブの頭の中では、たぶんちゃんと“動いている”。
ここが見えてくると、日本語に訳すのが急にもったいなく感じてきます。
100%訳そうとすると、物語は逃げていく。
大人の読書は、「気配」を味わえばいい
多くの学習者さんを見ていて感じることなんですが、語学の上達が早い人ほど、いい意味で「雑」です。
全部わかろうとしない。
もちろん、最初から適当という意味ではありません。
でも、「完璧に訳せなくても、なんとなく景色が見えるなら進んじゃう」
このマインドがすごく大きいんです。
たとえば、
“She picked at her salad.”
どんな情景が目に浮かびますか。
この文章だけで辞書通り訳すと、「彼女はサラダをつついた」になる。
その通りなんだけど、でも、それだけじゃない。
たぶん彼女、元気がない、悩みがあって、食欲がないんです。
フォークでサラダをいじってる。
単語帳は、こんな景色まで教えてくれない。
でも読書だったら、自然な流れで動きがイメージできる。
それが見えたら、もう十分。
読書って、本来そういうものではないでしょうか。
全部翻訳しなくていい。
文字の向こうにある、動きとか、空気とか、人間の感情とか、
そういうものを、ゆっくり追いかけていく。
そうしたら、いつの間にか言葉が自分の一部になっている。
そんな瞬間を、分かち合えたら嬉しいです。
編集後記|小さな“言葉の図鑑”をお届けします
言葉の裏側を覗くのって、私はちょっとミステリーに似ていると思っています。
どうしてその単語になったんだろう。
なぜ、その動物だったんだろう。
誰が最初にそんな言い方をしたんだろう。
調べ始めると、人間くさくて、妙に愛おしい話がたくさん出てくる。
そんな「言葉の景色」を集めた小さな図鑑を、noteで公開しました。
タイトルは、
『洋書が少しずつ読めるようになる、「食べる」のニュアンス図鑑
ー eatしか知らない大人は損をしている? ー』
今回お話しした wolf down や nibble はもちろん、1950年代のジャズマンたちの“聞き間違い”から生まれた、ちょっとお茶目な単語の歴史なんかも入っています。
言葉って、調べるほど人間くさい。
そんな面白さを、珈琲片手にゆっくり楽しんでもらえたら嬉しいです。
📖『洋書が少しずつ読めるようになる、「食べる」のニュアンス図鑑』
またこのカフェでお会いしましょう☕️🌿


コメント