日本語学校での授業でのことです。
授業の最初には、よくこんな質問をします。
「週末、何をしましたか?」
ある日、一人の学生が目を輝かせながら携帯電話を取り出しました。
「先生、見てください!」
画面いっぱいに広がったのは、桜の写真でした。
写真フォルダーには、真っ青な空を背景にした、少し濃い目のピンクの桜。
その写真が何枚も並んでいます。
よく見ると、場所もさまざまです。
東京スカイツリー の近くで撮ったもの、
東京タワー と一緒に写っているもの、
そして、私も知らないような小さな神社の桜まで。
どうやらSNSで情報を集めて、桜の名所を巡ってきたらしいのです。
まぶしい日差しの中で、あふれるように咲く桜の花。
その写真を見ていると、こちらまで嬉しい気持ちになりました。
桜を見ていると、どうしてあんなに心が明るくなるのでしょう。
きっとそれは、日本だけでなく、どこの国でも同じなのかもしれません。
早咲きの桜たち
日本では桜といえば、やはり ソメイヨシノ を思い浮かべる人が多いでしょう。
でも実は、桜の季節はもっと早くから始まっています。
2月の中旬ごろから、早咲きの桜が次々と咲き始めます。
たとえば
- 河津桜
- 寒緋桜
- 春めき
- おかめ桜
- 大寒桜
- 啓翁桜
名前を眺めているだけでも、日本人の花への愛情が感じられるようです。
早咲きの桜には、色の濃い品種も多くあります。
やさしい薄桃色のソメイヨシノとは少し違って、どこか力強く、春の訪れを告げるような色です。
桜前線を追いかけて
日本では、桜の開花の様子を 桜前線 と呼びます。
南から北へ、まるで季節の波のように桜の開花が移動していく様子を表した言葉です。
この桜前線を追いかけて、
2か月近くかけて日本列島を旅する人もいるそうです。
考えてみると、東京でも早咲きの桜から遅咲きの桜まで、
2か月近くは桜を楽しめるのではないでしょうか。
桜がくれる気持ち
桜は、ただ眺めているだけで心がふわっと明るくなります。
昼の桜は、春の光の中でやわらかく輝きます。
でも夜になると、また違った表情を見せます。
ライトに照らされた夜桜には、
どこか少し怖いような、凄みのようなものさえ感じることがあります。
その昼と夜のコントラストも、桜の魅力なのかもしれません。
学生の見せてくれた写真を眺めながら、
「ああ、春が来たのだな」と、改めて感じた一日でした。
今日のWord Note
桜前線(さくらぜんせん)
sakura front / cherry blossom front
桜の開花が、日本列島を南から北へ移動していく様子を表す言葉。
毎年、天気予報でも「桜前線」が話題になります。
English explanation
Sakura zensen (the cherry blossom front) refers to the movement of cherry blossom blooming across Japan from south to north each spring.
As temperatures rise, the blooming line gradually travels up the country, and people follow it to enjoy the cherry blossoms in different regions.
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