物語とことば

還暦からのすごろく

『隠居すごろく』を読んで『隠居すごろく』を読んだ。作者は西條奈加。なんの前知識もなく読み始めたのだが、これがとても面白かった。江戸時代の町人の暮らしを舞台にした、あたたかな人情小説である。物語の主人公は、商いを子に譲り、隠居した徳兵衛。六十...
物語とことば

理屈とことばのあいだで

『探偵ガリレオ』を読み終えて探偵ガリレオを読み終えた。東野圭吾の作品といえば、私の中では『ナミヤ雑貨店の奇蹟』や『クスノキの番人』のように、どこかノスタルジックで温かいファンタジーが思い浮かぶ。けれど、この『探偵ガリレオ』は、少し違う顔を見...
日本語表現

心に残る日本語の美しい言葉10選|余韻(よいん/yo-in)・名残(なごり/nagori)・面影(おもかげ/omokage)を味わう

消えゆくものに宿る美しさ本を読み終えたあと。旅から帰ってきたあと。あるいは、誰かと別れたあと。何かが終わったあとに、言葉にしきれない静かな感情が胸の奥に残ることがあります。日本語には、そんな「あとに残る感情」をやさしくすくい上げる言葉が、い...
日々の小さな発見

春の教室に残るもの

新たな門出に向けて春は、別れと出会いの季節だ。日本語学校でも、多くの学生たちがそれぞれの道へと一歩を踏み出していった。専門学校へ進学する学生、無事に就職が決まった学生、そして母国へ帰っていく学生。その進路はさまざまだ。最後の教室では、いつま...
日々の小さな発見

足元の春

オオイヌノフグリに出会う朝—オオイヌノフグリに出会う朝桜やミモザ、沈丁花。春を感じさせてくれる花はいろいろある。けれど、私にとって「春が来た」と実感するのは、もう少し足元に近いところにある。オオイヌノフグリ。地面に張り付くように、雑草のあい...
物語とことば

想像しながら読む楽しみ

Fourth Wing をゆっくり読み進める最近 Kindle で読んでいる洋書はFourth Wing(Rebecca Yarros)。物語の主人公はヴァイオレットという若い女性。彼女は本来、書物を扱う学者の道に進むはずだったが、母の命令...
物語とことば

『ビバ!還暦 60歳海外ひとり旅はじめました』を読んで

還暦からのひとり旅に憧れて最近、『ビバ!還暦 60歳海外ひとり旅はじめました』(中道あん)を読み終えた。著者は、この旅に出る直前に還暦を迎えたという。年齢がちょうど近いこともあって、読みながら「わかるなあ」とうなずく場面が何度もあった。この...
日本語表現

日本語にしかない美しい言葉10選②|春風(はるかぜ/harukaze)・風花(かざはな/kazahana)・ぬくもり(nukumori)

散歩をしていると、ふと立ち止まりたくなる瞬間があります。風のやわらかさに気づいたときや、どこからか水の音が聞こえてきたとき。そんなとき、「日本語にはぴったりの言葉があるな」と思うことがあります。以前このブログでは、「日本語にしかない美しい言...
物語とことば

哲学本の最後に出てきた言語学者

最近、ちょっと不思議な順番で哲学に触れている。きっかけは、海外ドラマ"The Good Place"。軽いコメディのように見えるのだけれど、登場人物たちは、「人はなぜ善いことをするのか」「どう生きるべきなのか」といった問いに何度もぶつかる。...
物語とことば

甘い香りに包まれて ― 原田マハ『スイート・ホーム』

バニラの甘い香りに包まれているような気がする。原田マハさんの小説『スイート・ホーム』の話だ。原田マハさんの本は、私の中ではあまり「はずれ」がない作家の一人だ。『楽園のカンヴァス』や『本日は、お日柄もよく』などの作品で知られているが、今回の本...